心を楽にするために振り返る子育て

トピックス:私たちが受け入れるべきもの

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※「あなたにもある心を回復する機能」に掲載しているトピックスをご紹介しています。

『受け入れる』という言葉について説明します。

ここで説明するのは、「今の状況を受け入れることができれば楽になるのに、それができなくて困っています」という文脈で使う『受け入れる』という言葉です。

心について考えようとするとき大前提となるのは、

  • 自分の感覚や感情は、自分にとって全く正しいものである

ということです。

自分が悲しいときは誰から何と言われようと悲しいし、自分が嬉しいときは誰から何と言われようと嬉しいし、自分が暑いと感じるときは誰から何を言われようと暑いのです。

この文章だけを読めば、「そんなこと当たり前だよ」ときっと、思われるでしょう。

しかし、普段の私たちは、感情や感覚そのものに焦点を当てるのではなく、現実的な事実や背景の中で感情や感覚を理解しようとするうちに、当たり前と思っていたはずのこの大前提を見失ってしまうところがあるのです。

【例】

新しく配属になった部署は、毎日単調な作業の繰り返しで何の刺激もなく、毎日会社に行くのが嫌で嫌でたまりません。

これまでの会社での評価は良く、本来ならば自分の望んでいた○○部○○課に配属され、そこで活躍しているはずだったのですが、人事上の都合で今の部署に配属されることになってしまいました。

最低5年はここに居なければなりません。

転職という選択肢もあるのですが、給料が良いので、家のローンのことを考えると、なかなか踏み切ることもできません。

せめて、現状を受け入れることができればやっていけると思うのですが……。


このような状況に置かれていたとしたら、あなたは現状を受け入れるとは、どういうことを指していると考えますか?

もし、次のようなことを考えるとしたら、心を見つめるときの大前提は消え去ってしまっていることになります。

  • この状況を普通と思うことができれば苦痛は感じなくなるだろう
  • 「恵まれている部分もある」と思うことができたら苦痛を感じなくなるだろう
  • 仕事だと割り切れば苦痛を感じなくなるだろう

なぜなら、これらは言葉を変えて説明すると、

  • 現状を、普通である・恵まれている・重要ではない・・・  と思い込み、自分に生じる心理的な苦痛を消滅させようとしている

つまり、

  • 当然感じるべき感情や感覚を、感じないようにしようとしている

ということになるからです。

「受け入れる」ということを考える場合、状況・状態・事象・人物などを受け入れるべき対象として認識するところがあります。

これらは全て自分以外のことです。

何かを受け入れようとしているとき、本人は意識していなくても、

  • 『受け入れるべきこと = 変わる必要はない(変わらないもの)』

という思考が働いてしまっています。

つまり、自分以外のことを受け入れようと思った時点で、その対象が変わらないと思っており、自分の何かを変えるしかないと考える状態に、自分を追い詰めてしまっているといえるのです。

そして、自分が感じたことが全ての始まりな訳ですから、自分の何かを変えようとするとき、その「感じる」という部分を打ち消そうとすることが、一番手っ取り早い方法です。

しかも、自己完結できることでもあるので、そのような対処になりやすいところがあります。

でも、これでは、大前提が崩れてしまいます。

大前提を崩さずに、自分の感覚や感情を受け入れられるのは、一体、どのような方法なのでしょうか?

「自分が苦しいということを受け入れる」という文章を読んで、「苦しいと思っても、楽にならないから困っているんじゃないか!」といった言葉が返ってくるかもしれません。

そう言いたくなるときは、おそらく、楽になることを自分自身に強いる状態に陥っていると思います。

楽になることを自分に強いるのではなく、「そうだね、当然嫌だと感じるよね」などと、ただ、自分の気持ちに耳を傾けるだけでいいのです。

嫌だとか苦しいとかいう気持ちを肯定するだけで、自分に対する理解が少し変わり始めます。

自分の気持ちを肯定できると、次第に、『嫌な気持ちなのに、その気持ちを抱えながらも頑張っている自分』が理解できるようになってきます。

そんなちょっとしたことでは何も変わらないと思われるかもしれません。

しかし、これはちょっとしたことではありません。

自分への評価が『嫌な気持ちを感じるダメな自分』から、『苦しい状況の中でも頑張っている自分』へと180度転換してしまうような大変革なのです。

ここまで来れば、頑張っている自分、頑張って疲れた自分に優しくしたり、癒しを与えたりできる状態になります。

あとは、自分に優しくしたり、癒しを与えたりすることを継続的に実践していけば、気持ちは回復していくのです。

最後にまとめると・・・

自分にとって好ましくない現実があったとき、それを受け入れることとは、自分の感情や感覚を消そうとする事ではありません。

  • 自分の置かれている状況での自分の気持ち・感覚・感情を認め、
  • そんな気持ちでも頑張っている自分自身を認め、
  • 頑張っている自分に、自分自身が優しくしてあげる、

ということです。

私たちが受入れるべきものは、現実を受け入れるのではなく、自分自身の気持ちなのです。


【補足】

人から優しくしてもらえると、気持ちが楽になります。

それは、自分自身からでも同じです。

  • 誰かに優しくしてもらうこと
  • 自分自身に優しくすること

には、リスクはありませんから、直ちにできることです。

「現状の中で、具体的にどう対処するか?」といったリスクを伴う思考や決断は、気持ちを楽にした後に、じっくりとする方が、良い結論を導き易くなると思います。

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