1.1.1 『泣くこと』に関する誤解
1.1 心の問題につながる代表的な誤解
ここでは、社会に定着してしまった心の問題につながる代表的な誤解について説明します。
1.1.1 『泣くこと』に関する誤解
例えば、小さな子供が、おもちゃ売場で寝転がって「おもちゃを買って!」と泣き叫んでいるところを想像してみて下さい。
これは「子供がわがままを言っている」と認識されることが多い行動ですが、子供にはそんなつもりはありません。
小さな子供が寝転がって泣き叫ぶまでの流れを想像してみます。
子供は、気になったおもちゃを見ているうちに、それが自分のものになったことを想像してワクワクした気持ちになります。
そして、そんな気持ちでおもちゃを触っていると、ワクワクした気持ちはどんどん大きくなっていきます。
小さな子供は、お父さんやお母さんに「おもちゃを買って」とワクワクした気持ちで伝えます。
もしかしたら買ってもらえるかもしれないと思うと、ワクワクした気持ちはピークに達します。
ところが、親から「買いません」と伝えられ、子供は「おもちゃを買ってもらえない」という現実に直面させられてしまいます。
子供の心にあったワクワクした気持ちは一瞬で消え去り、大きな悲しみで置き換わってしまいます。
この気持ちの急激な変化によって心が受ける衝撃は半端なものではないでしょう。
このような気持ちの大きな変化に、子供はうまく対処できずに、「おもちゃを買って!」と言いながら泣くのです。