心を楽にするために振り返る子育て

1.1.1 『泣くこと』に関する誤解

『泣く』という行動は、辛さに対処するために人に生じる自然な反応です。

つまり、子供が「おもちゃを買って!」と寝転がって泣き叫ぶのは、おもちゃを買ってもらえない現実と向き合い、そして、自分の中の大きくなり過ぎて抱えきれなくなった辛さを、もともとの「おもちゃを買って欲しい」という望みの言葉に乗せて、身もだえしながら外に吐き出し我慢しているということです。

見た目は、親がイメージしている『子供が我慢している状態』とは異なるのですが、これが、親が望む『我慢をしている子供』の様子なのです。

子供が「辛いよ」、「悲しいよ」と言って泣いてくれればわかりやすいのですが、「おもちゃを買って」と言って泣くから、親は「おもちゃを買え!」と迫られているように錯覚してしまいます。

そのような錯覚に陥ってしまうと、親は、子供の辛さに意識が向かなくなり、買う買わないの言い争いに陥ってしまいます。

子供は、望みを諦めなければならないと思っているからこそ泣いています。

親は、そんな子供を泣き止ませようと、買わない理由を納得させようとするのですが、説得しようとすればするほど、子供は泣き止むことができなくなります。

これは、後に説明する子供の泣き方が足りないときに、もっと泣かせて辛い気持ちを吐き出させるために感情を増幅させていることと同じだからです。

その結果、子供は辛さを大きくさせられて、泣いて外へ吐き出さざるを得ない状態に追い込まれた挙げ句に、それを外に出すと「泣くな!」と言って責められるという理不尽な状況におかれてしまうのです。

このようなやり取りが繰り返されると、親が子供に覚えさせようとしていた我慢ではなく、「泣くと責められる」、「辛くなると責められる」、「辛さは心に溜め込まなければならない」、「泣いてはいけない」と教えてしまい、人としての自然な反応である『泣く』ということをできなくさせてしまいます。

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