1.1.2 『怒り』に関する誤解

赤ん坊の頃は、快・不快の区別しかなかった感情が、成長するにつれて様々な感情に枝分かれしていくといわれています。
でも、成長して大人になっても、人が感じるのは、赤ん坊のときと同じような快・不快だけなのです。
そして、私たちは、その時々に感じとった快・不快の感覚に、その感覚に至った経緯に基づく解釈を付け加えたものを、感情と呼んでいるのです。
ですから、相手が自分が嫌がることを故意にやったと思って抑えきれない怒りを感じていても、相手にやむを得ない事情があったと分かれば、とたんに怒りが収まって、逆に、相手を気遣う気持ちになることさえ起こるのです。
ですから、怒りへの対処を考える場合、『感情の我慢』ではなく『経緯や背景の解釈』に意識を向けてみて下さい。
不快であることには変わりありませんが、『相手の行動』の解釈が変われば、怒りとは別の感情に変わるので対処も容易になります。