モデルで説明する楽な心・苦しい心

[付録] 自分を守る方法(詳細)
「気持ちを回復させる方法」以外で、自分を守ろうとする方法を詳しく説明します。
いずれの方法も、誤った解決(偽解決)への執着を生み出すだけで、本当の解決には導いてくれません。
全て、生じた「感覚・感情」を放置したままにしたり、打ち消そうとしたりしていて、適切な手当てをしないところが共通しています。
01 出来事を予防して守ろうとする
不快な「感覚・感情」につながりそうな出来事を予防して、精神的なダメージから自分を守ろうとします。
[出来事を予防する壁]

【例】
- 嫌な気持ちになりそうなことはやらない
- 成功が保証されていなければできない
- 初めてのことに手を出せない
- 過去に失敗したことを避ける
02 生じてしまった「感覚・感情」から守ろうとする
出来事を予防できずに、不快な「感覚・感情」が生じてしまったときは、その「感覚・感情」から自分を守ろうとします。
02-01 感じないことによって守る
[不快な「感覚・感情」を隠蔽]

自分に生じている「感覚・感情」に意識が向かないようにすれば、その「感覚・感情」を感じる苦痛から逃れることができます。
[不快な「感覚・感情」を吹き飛ばそうとする]

【例】
- つらいことに気づかない
- 「感覚・感情」から意識をそらせる(別のことに意識を集中させる)
- 趣味などに没頭する
- 空元気
02-02 自身の「感覚・感情」を元に戻そうとする
[大切にしているもの]

[大切にしていたものを失って生じた感情]

「大切にしているもの」や「大切な状態」を失ったとき、出来事や結果を操作して、生じた「感覚・感情」を修復しようとします。
02-03 元の状態に戻そうとする
出来事が起こる前の状態に戻すことによって、生じた「感覚・感情」を解消しようとします。
[元の状態]

世の中の変化は不可逆的なものなので、出来事が起こる前の状態に戻すことはできません。
そのような原則を無視して、元に戻すことにこだわると、いつまでも生じた「感覚・感情」は解消しません。
また、残った「感覚・感情」が原因となって、次のような状態に陥り易くなります。
【例】
- 出来事が起こったことを悔やみ続ける
- 過去の想い出に浸り続ける
- 原因を考え続ける
- 人を恨み続ける
- 自分を正当化する理由を考え続ける
- 起こったことを受け入れるための理由を考え続ける
- 「いつか、元の状態に戻る」と、夢を見続ける
- 元の状態に戻すことに執着する
仮に、状態が元通りになったとしても、過去の出来事で生じた「感覚・感情」は解消されずに残ったままになります。
[復元した元の状態]

そのため、復元した状態を維持することに執着したり、再び同様の出来事が起こることを恐れたりするようになることがあります。
02-04 元と似た状態を再現しようとする
出来事が起こる前と似た状態を再現することによって、生じた「感覚・感情」を解消しようとします。
[元と似た状態]

出来事が起こる前と似た状態を再現しても、生じた「感覚・感情」は解消されずに残ったままになります。
そのため、修復した状態を維持することに執着したり、再び同様の出来事が起こることを恐れたりするようになることがあります。
また、擬似的な状態には満足できずに、出来事が起こる前の状態を復元することに意識が向かうこともあります。
02-05 代わりのもの
代わりのものを得ることによって、生じた「感覚・感情」を帳消しにしようとします。
[代わりのもので帳消し]

しかし、良いものを手に入れた喜びで、かつての「感覚・感情」を隠したとしても、消えるわけではありません。
ことある毎に、かつての「感覚・感情」を思い出しては、あれこれと考えてしまうことになります。