モデルで説明する楽な心・苦しい心

03 他者の感情から守ろうとする
03-01 自分をコントロール
自分らしい「思考・行動」や、自分に生じる自然な「感覚・感情」を隠蔽することによって、自分を守ろうとします。
思考・行動の抑制
親密な関わりを持つ人が感情的になったときに被るダメージから自分を守るために、自分らしい「思考・行動」を抑制します。
[親密な人に不快な感情を引き起こしそうな自分の思考・行動を隠蔽(抑制)]

【例】
- 本当の考えや気持ちを言えない
- 言いたいことがあると、逆に、黙り込んでしまう
- 本当にしたいことを我慢して、他者が容認しそうなことをする
- 何かをやろうとすると、どっちでもよくなる(気持ちが萎える)
感覚・感情の抑圧
親密な関わりを持つ人が感情的になったときに被るダメージから自分を守るために、自分に生じる自然な「感覚・感情」を抑圧します。
また、親密な人からのダメージによる感覚・感情を抑圧して、「相手からのダメージによって自分に感覚・感情が生じること」が相手の感情をエスカレートさせて更なるダメージを被ることを防ぎます。
[親密な人に感情を引き起こしそうな自分の「感覚・感情」を隠蔽(抑圧)]

【例】
- 嬉しいのに、つまらないことだと思う
- つらいのに、笑い話として話す
- 正直な気持ちを言えない
- つらさを感じる自分を責める
- つらい気持ちを我慢する
- つらさを我慢できない自分を責める
- 泣きたいのに泣けない
- 泣くのを我慢する
03-02 他者をコントロール
親密な人の感情を刺激してしまうと、自分がダメージを受ける可能性があれば、事実も隠蔽の対象になります。
[親密な人の感情を刺激しそうな自分に関係する事象を隠蔽]

【例】
- 親密な関わりを持つ人が感情的になりそうなことを話せない
更に、自分とは無関係なことでも、親密な人の精神状態が変化して、自分が精神的なダメージを受ける可能性があれば、その出来事や状況になることを予防するようにも働きます。
[親密な人が不快になりそうな「親密な人に起こる出来事」を予防]

【例】
- 親が怒りそうなことをする兄弟を責める
- やらなければ、親が怒りそうなことを兄弟が強制する
- 父親(母親)が怒りそうなことをする子供を、母親(父親)が責める
- やらなければ、父親(母親)が怒りそうなことを、母親(父親)が子供に強制する
補足
心理の世界では、「全ての感覚・感情、思考、行動の責任は自分自身にある」という原則があります。
親密な人が感情的にならないようにコントロールすることは、この原則に反しますが、自分の安心のためには、やむを得ないところはあります。
ただ、子供の頃に、このようなことが習慣化することによって、赤の他人が感情的になったときにでも、相手が感情的になったのは「自分の責任」とか「相手を怒らせてしまった人の責任」と思ってしまう傾向が身につく恐れがあります。
また、「他者の感情によって、自分がコントロールされた経験」による学習の蓄積によって、将来、「自分の感情によって、他者をコントロールしようとする傾向」を身に付けてしまう恐れもあります。
04 ねつ造
親密な人から大きな期待をかけられている場合などは、親密な人からの精神的なダメージを隠蔽だけでは防げないために、相手の期待を満足させるために実績を作ったり、事実をねつ造したりすることがあります。
[嘘や不本意な努力によって、相手を感情的にさせないものを作り出す]

【例】
- 成果を尋ねる質問に当たり障りのない答えをしたり、成果があったと嘘をついてしまう
- 本当は興味の無い活動をやめずに頑張っている
- 会社を休む度に、誰かの葬式だと嘘をついてしまう